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菊地徹さんとカラフト犬

すみかわです。
今回の東京行きのもう一つの目的である「菊地徹さんのお別れの会」は、
芝の増上寺でしめやかに行われました。
菊地徹さんといえば、第一次南極越冬隊で、
タロ・ジロを含むカラフト犬の飼育担当だった方です。
映画『南極物語』では、高倉健さんが演じました。

夜は、南極倶楽部の定例会だったこともあり、
国立極地研究所のO名誉教授が、菊地徹さんとカラフト犬についての
知られざるエピソードをお話くださいました。





悪天候で第2次隊の越冬が成立せず、タロ・ジロを含むカラフト犬15頭が
南極・昭和基地に置き去りにされたのは昭和33年2月。
南極観測にかかわる人は、日本全国から非難を受け、そりゃあ大変だったようですが、
動物愛好家を中心に、カラフト犬たちを供養しようと、
東京タワーと大阪・堺市の大浜公園に供養像が建立されました。
このときは、まだ第3次隊が行く前のことですから、犬たちの生存は確認されていません。
でも、みんな生きてはいないだろう・・・というのが大概の人の予測でしたから、
南極に置き去りにされた15頭のカラフト犬像が作られたわけです。

堺市で盛大な供養が行われたのは昭和33年7月。
除幕式には西堀榮三郎越冬隊長と、菊地徹隊員、北村泰一隊員の3名が出席し、
菊地徹氏が代表で1頭1頭の犬たちの名前を呼んだ後、
「やすらかに眠れ」と締めくくることになったそうです。

順に犬たちの名前を呼んでいった菊地隊員、でも何故か、13頭の名前を呼んだ時点で
言葉に詰まってしまい、あとの2頭の名前がどうしても思い出せない。
しかたがないので、「やすらかに眠れ」と締めくくってしまったそうです。
終わってみれば、「そうだ、タロとジロじゃないか!」と思い出し、
そんな難しい名前でもないのに、何であのときは出てこなかったんだろう?と思ったら、
数ヵ月後、第3次隊とタロ・ジロとの感動のご対面です。
あの時、タロ・ジロの名前が出てこなかったのは、こういうことだったのか!と、
関係者はみな驚いたそうです。なんだか不思議な話でした。

by tanken-n | 2006-05-19 12:39 | つぶやき